ironmanとはハワイを本拠地にするironman協会が世界で繰り広げる世界大会だ。厳しいレギュレーションの下、トライアスロンの中で最も長い距離(226㎞)で戦うレースの1つである。
そのironman大会が日本で9年ぶりに開催。
完走できた選手は皆、鉄人(ironman)の称号を与えられる。そのため、選手は皆このゲートを目指す。
ironman Japan みなみ北海道は、初開催で函館の近郊、北斗市から木古内町の間で繰り広げられる。
スイムは、北斗市の海岸から津軽海峡を3.8㎞を泳ぐ🏊♂️ バイクは、北斗市と木古内町の間で自動車専用道路を3往復の180㎞を走る🚴♀️ 最後のランは、木古内町内を3周回の42.2kmを走る🏃♂️ 午前6時30分スタートで制限時間は17時間の午後11時30分だ。
僕のironmanレースは、自分で考えたこのレースレシピ記載の計画で走る。どの場所でどんな補給(軽食やエネルギーゼリーなど)をするかも綿密に戦略を組んだ。
計画では、スイムを午前8時30分、バイクを午後4時30分、そしてラン・ゴールを午後10時30分の計16時間切りを目指すものだ。
昨夜の激しい雨も止み、今日日中の気温予想は曇りで23℃と暑くなくコンディションは良好。
海外45ケ国を含む選手1500名あまりは、函館山を前に見て、午前6時30分、スイムをローリング方式でスタートした。
スイムスタートとともに波が出てきた。1mから1.5mの波高があり、先にスタートした選手たちが苦戦している。
僕は6時51分でのほぼ最後尾からスタートだ。この時は余裕のある顔だが、この後1.5㎞ほど泳いだあたりで波に揺られて酔ってしまい気分が悪く、海の中でゲロってしまった🤮 幸い朝食は午前3時に取っていて消化されており、胃液だけだ。これで気分が良くなり元気になった。
3.8kmを無事泳ぎきり、函館山を背に浜に上がった。
時刻は午前8時38分。波に苦戦したためか、予定より遅れている。
スイムゴールだ。
予定より10分ほど遅れてバイクスタート。
T1(スイムからバイクへのチェンジ)では、レシピに従いコカコーラ1本飲みながらバナナ1本とアップルパイ1個をお腹に補給した。
寒さ対策(バイクで腹が冷えるとパフォーマンスが下がる)として、トライスーツの中に腹巻きをして、冷凍保冷用の銀紙を腹に巻いて行く。お腹が出ているように見えるのはそのためか???
たくさんの応援の中、自動車専用道路(函館江差道)へと向かう。
インターチェンジから函館江差道へ入っていく。
はやる気持ちを抑え、7割くらいの力でペダルを踏む。
函館江差道の緩い下り坂では、時速60㎞近くになる。速い選手は、この道路の制限時速70㎞を超えるのだ。
コースには長いトンネルや風の影響を受ける地面から高い位置の橋もあるが、反対に景色がよく気持ち良い。
横からみたバイクの走り。
バイクでは3回の補給物資のデポ場所があり、レースレシピに従い、レッドブル500ml、コーラ750mlとともにバナナ1本とおにぎり2個に加えて、アミノバイタルゼリーを2個補給した。
水分は、エイドステーションで水もしくはスポーツドリンクをボトルで受け取れるため、バイク中に計6ボトル(3ℓ)を受け取った。
バイクゴールまであと60㎞となり、トンネルからの緩い下り坂を全開でペダリングだ。
少し陽が傾いてきた。
ラストスパートをライバルの選手と張り合う。
こうしてバイクをレースレシピの計画午後4時30分の少し前にゴールできた。
T2(バイクからランへのチェンジ)では、アップルパイとアミノバイタルゼリー1本を補給した。
ランは木古内町を14㎞ × 3周回だ。日が暮れると気温も14℃とかなり冷えてきた。
レースレシピに従い、14㎞地点と28㎞地点の2回の補給でレッドブル500ml、コーラ1ℓ、バナナ1本、おにぎり2個を完食だ。
2周回(28㎞)まではゆっくりながら走り続けてきたが、3周回目の33㎞くらいからは足が重く動かず歩いてしまう羽目になった。歩きながらふと空を見上げると、何と星が美しいことか。北斗七星とカシオペアがキラキラ輝いていた。あまりもの美しい夜空にしばしレースを忘れるくらいだった。
そしていよいよその時がやってきた。
午後10時41分、スタートから16時間足らずでゴールゲートに到達できた。
僕はローリングスタートで最後尾スタートであり正式タイムは15時間50分02秒。
目標としていた16時間切りが達成できた。
ゴールして全てが終わり、ホッとした顔だ。
順位は総合1123位/1310名中、年代(55〜59歳)は、131位/163名中であった。スタートした人のうち165名がDNS(途中リタイヤもしくは制限時間オーバー)であった。終始暑くなかったためか、コンディションが良く完走率は87.5%と比較的高め(ironmanレース平均では完走率75〜80%程度)であった。
スイム1時間47分09秒、バイク7時間18分15秒、ラン6時間18分25秒、T1 13分29秒、T2 12分46秒と、終わってみるとほぼレースレシピの計画通りであった。
ウイニングフォトエリアでフィニッシャーメダルとバスタオルを持って記念撮影だ。
思えば、超過酷なレースだが、綿密なレースレシピで戦略を立てて、それ通りに実行したことが目標時間達成での完走につながった気がする。これってビジネスと同じで、目標に対し戦略と計画を立て、それをしっかりと実践するところやな。
完走とironman称号の記念メダルだ。
ゴール直後はもうこんなしんどいのはいらんなあ、と思いつつも、今はこれからもこのメダルを集めたいなあ、と思っている。
もちろん、帰宅してのビールが美味かったことは言うまでもない。
おしまい